共同養育ガイド|面会交流

面会交流を拒否された、会わせたくない。
― どちらの側にも、家庭裁判所の手続があります

面会交流(親子交流)は、会わせてもらえない側にも、会わせたくない側にも、家庭裁判所の手続があります。分かれ道は「家庭裁判所で決めた取決めがあるか」。あるなら履行勧告(費用0円)、無いか変えたいなら親子交流調停(収入印紙1,200円)です。安全が心配なときの相談先までまとめます。

なお、裁判所や法務省の資料では、いま「親子交流」という言い方が使われています(家庭裁判所の手続の名前も「親子交流調停」です)。この記事では、検索でたどり着いた方が迷わないように「面会交流(親子交流)」と併記します。

会わせてもらえない/会わせたくない。まず何が分かれ道になりますか?

家庭裁判所の調停や審判で決めた取決めがあるかどうかで、使える手続が変わります。まず、自分がどちらなのかを確かめてください。

いまの状況主に使える手続
家庭裁判所の調停・審判などで決めた取決めがあるが、守られない取決めの手続をした家庭裁判所へ履行勧告の申出(費用はかかりません)。再度の調停を利用することもできます。
取決めが無い(口約束だけ、何も決めていない)親子交流調停(面会交流調停)の申立て。話合いがまとまらなければ、そのまま審判手続へ移ります。
公正証書などで当事者間だけで合意した公正証書などについては履行勧告を申し出ることはできません。親子交流調停の申立てを検討します。
一度決めた内容を変えたい子どもの生活状況の変化などがあれば、再度の調停を利用できます。

出典:裁判所「履行勧告手続」最高裁判所「家庭裁判所における親子交流事件の手続について」(令和7年10月)

取決めが守られないとき、「履行勧告」はどんな手続ですか?

家庭裁判所が相手に「取決めを守るように」と勧告してくれる手続です。費用はかからず、電話でも申し出られます。

「養育費のための制度では?」と思われがちですが、家庭裁判所の案内には対象として「金銭の支払や面会交流等の義務」と書かれています(出典:広島家庭裁判所「履行勧告の申出について」)。面会交流にも使えます。

限界も、先に知っておいてください。履行勧告は、勧告に応じない場合に履行を強制することはできません。また、勧告できる内容は「調停・和解条項または審判・判決の主文に記載のあるもので、明確に義務の履行について定められているものに限る」とされています。取決めが「協議のうえ交流する」といった書き方にとどまっていると、勧告が難しいことがあります。

履行勧告で動かないとき、「間接強制」は面会交流にも使えますか?

間接強制という手続はありますが、裁判所の公開されている案内は、養育費など「扶養に関する金銭債権」を中心に説明しています。親子交流の取決めに使えるかどうかは、取決めがどれくらい具体的かなどによって変わるため、申立先の家庭裁判所か弁護士に確認してください。

手続そのものの内容は、次のとおりです(出典:裁判所「間接強制」)。

項目内容
どんな手続か債務を履行しない義務者に対し、一定の期間内に履行しなければその債務とは別に間接強制金を課すことを警告(決定)することで、心理的圧迫を加え、自発的な支払を促すもの。
申立先調停、審判又は判決等をした家庭裁判所
申立てに必要な費用収入印紙2,000円と、連絡用の郵便切手。郵便料は裁判所ごとに異なるため、申立先の裁判所に確認します。
必要な書類申立書1通、執行力のある債務名義の正本、債務名義の正本送達証明書。
ここで断定していない理由。裁判所の案内は、金銭債権のうち養育費や婚姻費用の分担金など「扶養に関する権利」について間接強制の方法による強制執行ができる、という説明になっており、親子交流の取決めに使えるかどうかの条件までは示されていません。できることを大きく見せると、動いた人が無駄足を踏みます。この記事では踏み込まず、確認先だけをお伝えします。

取決めが無い/変えたいとき、親子交流調停の申立先と費用は?

相手方の住所地の家庭裁判所に申し立てます。費用は収入印紙1,200円分(子ども1人につき)と、連絡用の郵便切手です。

項目内容
手続の名前親子交流調停(面会交流調停)
申立てができる人父、母
申立先相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所
費用収入印紙1,200円分(子ども1人につき)+連絡用の郵便切手(郵便料は裁判所ごとに異なるため申立先で確認)
申立方法申立書等の持参、または郵送
必要な書類申立書及びその写し1通、未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)、事情説明書(親子交流)、進行に関する照会回答書、送達場所等届出書
期日の進み方調停の回数は決まっておらず、事案に応じて複数回の期日を設けます。
まとまらないとき調停は不成立となり、自動的に審判手続へ移行。審判では裁判官が一切の事情を踏まえ、子どもの利益を考慮して判断する

見落とされがちですが、この手続は離婚後だけのものではありません。裁判所は「この手続は、離婚前であっても、両親が別居中で子との交流についての話合いがまとまらない場合に、利用することができます」と案内しています(出典:裁判所「親子交流調停」)。離婚が成立するまで待つ必要はありません。

また、調停では、子の年齢、性格、就学の有無、生活のリズム、生活環境等を考えて、子に精神的な負担をかけることのないように十分配慮し、子の年齢や発達の程度に応じてその意見・意向等を適切に尊重した取決めができるように、話合いが進められます。親同士の権利をどう分けるかではなく、子どもを基準に決める枠組みです。頻度やルールをどう書くかは、面会交流の頻度・ルールの決め方で具体例をまとめています。

2026年4月から始まった「親子交流の試行的実施」とは?

家庭裁判所の手続の途中で、条件を決めて実際に交流をやってみて、その状況や結果を踏まえて取決めを進める制度です。2026年4月1日施行の改正で設けられました。

流れは5段階です(出典:法務省民事局「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(2026年1月改訂))。

  1. 家庭裁判所が、こどもの心身の状況に照らして相当か、試行的実施の必要性があるかなどを考慮して、促すか否かを検討する。
  2. 検討を踏まえ、当事者に試行的実施を促す。このとき、実施の条件(日時、場所、方法等)や約束事項等を定めることができる。
  3. 当事者が、家庭裁判所からの促しに応じて試行的に実施する。
  4. その状況や結果が、家庭裁判所調査官による調査や、父母自身による報告を通じて共有される。
  5. 家庭裁判所が、その結果を踏まえ、調停の成立や審判に向けて必要に応じて更に調整等を行う。

「いきなり本番の取決めを決めるのが怖い」という気持ちは、会わせたい側にも、会わせたくない側にもあります。条件を決めて一度やってみて、その結果を裁判所が見たうえで決める、という段取りが用意されたのは、どちらの側にとっても現実的です。

できなかったときは? 子どもの気持ちは? 法務省の資料では、試行的実施をしなかったときは、当事者は家庭裁判所からの求めに応じてその理由を説明しなければならないとされています。また、家庭裁判所はこどもの心身の状態に照らして相当でないときは、試行的実施を促すことができないとされ、その判断にあたってこどもの意見は年齢や発達の程度に応じて考慮されます。改正の全体像は2026年の改正民法で共同養育はどう変わる?にまとめています。

面会の予定と養育費の記録を、連絡先を交換せずにアプリの中だけで共有できます。

会わせたくないとき、安全が心配な場合はどこに相談できますか?

「相手の顔を見たくない」のか、「子どもに危険が及ぶ」のかで、進み方はまったく違います。危険が理由なら、交流の条件を話し合う前に、安全の確保が先です。

法務省の資料は、相談先として次を案内しています。

「今さら言えない」ということはありません。法務省は、こどもの利益のため急迫の事情があるときの例として「DVや虐待からの避難(こどもの転居などを含みます)をする必要がある場合」を挙げ、「被害直後に限りません」と明記しています。また、改正で定められた父母間の人格尊重・協力義務についても、「DVや虐待から避難するために必要な場合などはこの義務に違反しません」としています。

一方で、同じ資料は、「父母間で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、その一方が、特段の理由なく、その実施を拒むこと」を、人格尊重・協力義務に違反する場合がある行為として挙げています。安全のための拒否と、特段の理由のない拒否は、扱いが分かれます。どちらの側から読んでも、ここは同じ資料に同じ重さで書かれている部分です。

相手と直接やり取りすること自体が負担になっている場合は、連絡を取りたくない相手との共同養育の進め方もあわせてご覧ください。

「会わせない」以外に、どんな決め方がありますか?

交流の方法は「直接交流」と「間接交流」に大別されます。会う・会わないの二択ではなく、条件の設計として話し合えます。

方法内容
直接交流直接会って行う交流。頻度、時間、場所、同伴者の有無などを決める場合もあります。
間接交流電話、手紙、メール、ビデオ通話等の方法による交流や、子どもと一緒に暮らす親から離れて暮らす親に、写真、通知表等を送付する交流など。

さらに、最高裁判所の冊子には「交流を行わないという合意や審判をする場合もあります」と明記されています。会わせたくない側の選択肢が、はじめから閉じているわけではありません。

また、両親が協力して子どもを受け渡したり、連絡を取ったりすることが難しい場合には、親子交流等を支援する機関を利用する合意をすることも可能です。ただし、裁判所がその機関をあっせんすることはできず、利用の条件や費用等は直接各機関に問い合わせることになります。

子どもが「会いたくない」と言ったとき。最高裁判所の「親子交流のしおり」(令和7年10月)は、一緒に暮らす親に向けて「その理由をよく聞いてみましょう」と書いたうえで、「子どもが話した理由を口実にして、親子交流を一方的にやめてしまうことは、新たな争いを生みます」としています。同じ冊子は、離れて暮らす親に対しても「特に、親子交流を終える時間や、子どもを引き渡す場所などを相手に相談なく変えることは避けましょう」と求めています。どちらか一方だけに我慢を求める作りにはなっていません。

どちらの側でも効いてくるのは「記録」です

ここまでの手続は、どれも「実際に何がどうなっているのか」を家庭裁判所に示すところから始まります。だから、日々の記録がそのまま材料になります。

やっかいなのは、その記録がいちばん必要になるのが、いちばん相手とやり取りしたくない時期だということです。

共同養育アプリ「はぐみぃ」は、面会の予定と養育費の記録を、電話番号やLINEを交換せずにアプリの中だけで共有できる無料の便利ツールです。できるのはそこまでで、相手に約束を守らせる力はありませんし、家庭裁判所の手続の代わりにもなりません。「連絡は取りたくない、でも記録は要る」という時期の支えとして使っていただければと思います。紙で残したい方は面会交流の予定表テンプレート(A4 1枚)もご利用ください。

※この記事は、裁判所・法務省・内閣府男女共同参画局・こども家庭庁の公的資料をもとにした一般的な解説で、個別の事案についての法的助言ではありません。ご自身のケースについては、家庭裁判所・法テラス・弁護士などの専門の窓口にご相談ください。金額・必要書類・郵便料は変わることがあるため、申立ての前に申立先の家庭裁判所で最新の情報をご確認ください。

よくある質問

面会交流を拒否されたら、まず何をすればいいですか?

家庭裁判所の調停や審判で決めた取決めがあるかどうかで、進み方が変わります。取決めがある場合は、その手続をした家庭裁判所に履行勧告を申し出られます(費用はかかりません)。取決めが無い場合や、口約束・公正証書だけの場合は、親子交流調停を申し立てることになります(出典:裁判所)。

履行勧告に費用はかかりますか。電話でも申し出できますか?

履行勧告の手続に費用はかかりません。申出は書面でも口頭でもでき、電話によって申し出ることもできます。ただし、勧告に応じない場合に履行を強制することはできません(出典:裁判所)。

親子交流調停(面会交流調停)の費用はいくらですか?

収入印紙1,200円分(子ども1人につき)と、連絡用の郵便切手が必要です。郵便料は裁判所ごとに異なるため、申立先の裁判所に確認してください(出典:裁判所)。

離婚前で別居中でも、面会交流の調停は申し立てられますか?

できます。裁判所は、この手続について、離婚前であっても、両親が別居中で子との交流についての話合いがまとまらない場合に利用することができる、と案内しています(出典:裁判所)。

子どもに危険が及ぶ心配があり、会わせたくないときはどうすればいいですか?

まず安全の確保が先です。法務省は相談先として、DVについてはDV相談ナビ「#8008」、児童虐待の相談・通告については児童相談所虐待対応ダイヤル「189」を案内しています。また、DVや虐待からの避難が必要な場合について、被害直後に限らないとしています(出典:法務省)。

出典(いずれも2026年9月6日に閲覧): 裁判所「親子交流調停」裁判所「履行勧告手続」裁判所「間接強制」最高裁判所「家庭裁判所における親子交流事件の手続について」(令和7年10月・令和6年法律第33号による改正対応)最高裁判所「親子交流のしおり」(令和7年10月)広島家庭裁判所「履行勧告の申出について」法務省民事局「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(2026年1月改訂)法務省「民法等の一部を改正する法律について」内閣府男女共同参画局「配偶者暴力相談支援センター」こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について」

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