共同養育とは?
― 共同親権との違いと、始めるときの手順
共同養育とは?
共同養育とは、離婚や別居のあとも、父母がそれぞれ子どもの育ちに関わり続けることを指す言葉です。法律で定義された用語ではなく、面会交流(親子交流)・養育費の分担・日々の情報共有といった「実際の関わり方」をまとめて呼ぶときに使われます。
「どちらか一方が育て、もう一方は関わらない」形と対比して使われることが多い言葉です。共同養育という言い方に決まった形はなく、子どもの年齢や生活、双方の住まいの距離、父母の関係によって、実際の形は家庭ごとに違います。
| 言葉 | 指しているもの |
|---|---|
| 共同養育 | 離婚・別居後も父母それぞれが子どもに関わり続ける、実際の関わり方。法律用語ではない |
| 共同親権 | 離婚後に父母2人ともが親権を持つという、法律上の状態。2026年4月1日施行の改正民法で選べるようになった |
| 面会交流(親子交流) | 離れて暮らす親と子どもが定期的に会ったり連絡を取ったりして交流すること |
| 養育費 | 子どもの監護・教育に必要な費用の分担 |
2026年の改正民法で何が変わった?
2026年4月1日に施行された改正民法では、離婚後の親権を父母2人ともにするか(共同親権)どちらか1人にするか(単独親権)を選べるようになりました。あわせて、取り決めがない場合に請求できる法定養育費(こども一人あたり月額2万円)と、婚姻中に子どもと別居している場合の親子交流の決め方が定められました。
| 変わった点 | 内容 |
|---|---|
| 親権の選択 | 離婚後に父母2人ともが親権を持つ共同親権か、1人だけが持つ単独親権かを選べる |
| 決め方 | 協議離婚では父母の話し合いで決める。調停・裁判では、家庭裁判所が父母とこどもの関係などを考慮し、こどもの利益を考えて定める |
| 法定養育費 | 取り決めがない場合に、こども一人あたり月額2万円の養育費を請求できる制度 |
| 先取特権 | 文書で養育費の取り決めがあれば、その文書をもって一方の親の財産を差し押さえる申立てが可能になる |
| 別居中の親子交流 | 父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に、父母の協議で決める |
| 試行的な親子交流 | 家庭裁判所の手続き中に、親子交流を試行的に行うことができる |
いずれも制度の枠組みであり、実際にどう関わるかは家庭ごとに決めていくことになります(出典:こども家庭庁)。改正民法の詳しい内容は、2026年の改正民法で共同養育はどう変わるでまとめています。
決めた面会の予定と実施の記録を、連絡先を交換せずにアプリの中だけで残せます。
いま、どれくらいの家庭が取り決めをしている?
公的調査では、面会交流の取り決めをしている世帯は母子世帯30.3%・父子世帯31.4%で、実施頻度で最も多い区分は「月1回以上2回未満」(母子世帯24.2%・父子世帯27.7%)でした。取り決めをしている世帯は、いまのところ3割ほどにとどまります。
| 項目 | 母子世帯 | 父子世帯 |
|---|---|---|
| 面会交流の取り決めをしている | 30.3% | 31.4% |
| 実施頻度で最も多い区分 「月1回以上2回未満」 | 24.2% | 27.7% |
出典:令和3年度 全国ひとり親世帯等調査。頻度の目安や取り決めの項目は、面会交流の頻度・ルールの決め方で詳しく整理しています。
共同養育を始めるときの手順
共同養育を始めるときは、①繰り返し必要になることを決める → ②決めた内容を書面や記録に残す → ③まとまらなければ家庭裁判所の調停・審判で決める、という流れが基本です。最初からすべてを細かく決めきる必要はありません。
| 手順 | やること |
|---|---|
| ①決める | 面会の頻度・1回の時間・受け渡しの場所と方法・連絡の手段・変更時のルール・養育費の分担 |
| ②残す | 決めた内容を書面や記録に残す。実施したこと(いつ会ったか)も記録に残す |
| ③相談する | まとまらないときは家庭裁判所の調停・審判へ。自治体の離婚前後家庭支援事業などの相談窓口もある |
自治体では、養育費や親子交流の取り決め、こどもの生活について支援や相談を希望する方に向けた離婚前後家庭支援事業が行われています。お住まいの自治体の窓口で確認できます(出典:こども家庭庁「ひとり親家庭等への支援」)。
続けるうえで気をつけたいこと
共同養育で最も大切にされているのは、こどもの利益を最優先に考えることです。改正民法でも、親子交流は「こどものことを最優先に考えることを前提に」決めるとされています。
- 子どもの生活を基準にする:大人の都合よりも、子どもの体調・気持ち・生活リズムを優先して予定を組みます。
- やり取りを最小限にする:直接の連絡が負担になると続きにくくなります。連絡の窓口や方法をあらかじめ決めておきます。
- 記録を残す:決めたことと実施したことを記録に残すと、後の行き違いを防ぎやすくなります。
- 無理な形は避ける:暴力や恐怖がある場合など、直接会うことが適さない状況もあります。専門の窓口に相談してください。
相手と直接連絡を取ることが負担な場合の進め方は、連絡を取りたくない相手との共同養育の進め方で具体的にまとめています。
よくある質問
共同養育とは何ですか?
共同養育とは、離婚や別居のあとも父母がそれぞれ子どもの育ちに関わり続けることを指す言い方です。法律で定義された用語ではなく、面会交流(親子交流)や養育費の分担、日々の情報共有といった実際の関わり方をまとめて呼ぶときに使われます。
共同養育と共同親権は同じ意味ですか?
同じではありません。共同親権は、離婚後に父母2人ともが親権を持つという法律上の状態を指します。2026年4月1日施行の改正民法で、父母2人ともにするか、どちらか1人にするかを選べるようになりました。共同養育は、親権の形にかかわらず、実際に両親が子どもに関わり続ける状態を指す言葉です(出典:こども家庭庁)。
離婚後の親権はどうやって決まりますか?
協議離婚では、父母が話し合いによって親権者を父母2人ともとするか、どちらか1人にするかを決めます。話し合いで決まらないときは、家庭裁判所が、父母とこどもの関係や父と母の関係などを考慮したうえで、こどもの利益を考えて定めます(出典:こども家庭庁)。
共同養育は何から始めればよいですか?
まず、面会交流の頻度・受け渡しの方法・連絡の手段・変更時のルールなど、繰り返し必要になることを決めるところから始めるのが一般的です。決めた内容は書面や記録に残します。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停・審判で決めることができます。
相手と直接やり取りするのが負担な場合は?
連絡の窓口・手段・時間帯をあらかじめ決め、やり取りを予定と記録に絞る方法があります。自治体の離婚前後家庭支援事業など、養育費や親子交流の相談を受けられる窓口もあります。暴力や恐怖を感じる状況では、配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ #8008)にご相談ください。
出典:こども家庭庁「民法等の一部を改正する法律について」(support-hitorioya.cfa.go.jp )、こども家庭庁「ひとり親家庭等への支援」(cfa.go.jp )、令和3年度 全国ひとり親世帯等調査(厚生労働省 統計一覧 mhlw.go.jp )。制度の詳細・最新情報は、各公式情報および専門の窓口でご確認ください。
連絡先を交換しなくても、面会の予定と記録をふたりで共有できます。
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